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辻井伸行 奇跡の音色~恩師・川上昌裕との12年間の物語~

神原一光さんの「辻井伸行 奇跡の音色~恩師・川上昌裕との12年間の物語~」を読みました。恩師の頑張りもすごいし、もちろん、本人のがんばりもものすごいものがあったんだと思います。少し、紹介したいと思います。

 

■教え方

 言い方が悪くなりますが、ピアノの世界には、弾き方の振り付けや、お辞儀の方法

まで教える“コンクール用”の指導というものが存在します。でもその方法で仮に賞を

取れたとしても、しょせんは“金メッキ”でしかない。メッキはいつか剥がれてしまいます。

 コンクール用に“この曲はこう弾くんだ”と曲に特価した教え方をしても、教わった

曲はうまく弾けるかも知れないけれど、次にまったく新しい曲をやろうと思ったら、

またゼロから同じ真似を教えなきゃ行けない。そでは、自分の個性がまったく出てく

るわけがありません。レッスンの貴重な時間に、真似事を教えるのではそれは指導と

は言えないのではないでしょうか。

 僕が育てたいのは、その人の持っている普遍的な勢いや力です。そういう力を養え

ば、どんな曲が出てきても通用するはずです。“この曲の場合は、こう解釈してこう弾

きたい”という気持ちが自分の中から出てくる。伸君の場合は、ピアニストとしての器

が大きく、才能を持っていると確信していたので、とくにそういう演奏家に育てたか

ったのです」

 すごいですよね。

 

■日本とヨーロッパの指導方法

 こうした努力を続けても、川上のピアノは教授たちからほめられなかった。

 当時、日本のピアノ教育は、ほめることはあまり重視されなかった。指導者が厳し

いことで、生徒は一生懸命練習するというレッスンの構図があり、音の間違いやリズ

ムの間違いがないかなど、正確に弾くことを徹底的に追い求められたのだという。

「今では通用しないと思いますが、当時のレッスンというのは、“泣くもの”“泣かされ

るもの”などと言われるほど厳しい場でした。とくにピアノという楽器は、他の楽器以

上に高度な技術を要求されるので、指導が一筋縄ではいかないからだと思います」

 レッスン室にグランドピアノが2台あるものの、指導者はピアノを弾かなかった。

生徒の演奏を聴いて「ダメだ!」「演奏が歌っていない」といった言葉を浴びせるだ

けだった。いわゆる根性精神なるものが、まかり通っていた。

 ヨーロッパでは、指導者もコンサートを行う演奏家であることがほとんどだが、当

時の日本では、指導者自身が演奏家ではない傾向があり、極端なケースでいえば、ピ

アノを演奏できない教師が生徒の指導をすることも珍しくなく、「ピアノを弾けない

先生にピアノを教わる」環境と言っても過言ではなかった。

 こんなことってあるんですね。今は違うと思いますが、日本の指導方法にはびっくりです。

 

■成功していく人

 頭の良い人は、問題が起きたときには現実をよく見据えて問題解決しようとした

り、すぐに解決できないように見えることには、事実を分析していろんな方向から解

決策を見つけたりすると思います。でも、冷静に分析しているように見えても、じつ

は『できない理由』なかり挙げてしまって、結局『その方向では無理だろう』と思っ

て終わってしまうケースが多いのではないでしょうか。

 ところが、成功していく人は、障壁が出てきたら物事が後退したと観るのではなく

て、それを解決して直実に一歩進んだ、嬉しいと感じるような思考パターンをもって

います。

 たとえば、発明家に数多くの失敗はつきものですが、天才的な発明家はみなそれを

失敗だと思わずにそれは『前進』だと言っています。だから、何が起きても停滞も後

退もなく、それを前進しているということで、喜びを感じるわけです。

 伸くんには、周りの物事をすべて良い方向に引っ張っていく才能があります。子ど

もの時から、周りの大人たちが落ち込んでいるときにさえ、ひとりだけ『大丈夫です

よ』とニコニコ言うようなところがありました。必ずしも物事を深刻に分析して考

え、そして解決策を見つけ出しているわけではないのかもしれませんが、なぜか事態

はいつも解決の方向に進んでしまうのです。

 最後まで自分を信じることができる強さを持っているのが彼のすごいところです。

そのような精神的な強さには、私も学ばせられました。

 彼の極端なまでの『楽観主義』というか『ポジティブ思考』は、見方によっては不

思議というか、それで本当に大丈夫なの?と思う人もいるかもしれません。でも、こ

れこそが彼の才能であり、彼の伸ばすべき個性だと思います。もはや個性というより

才能と表現した方が的確かも知れません。

 人間には、自分が「できる!」と思った瞬間に、自分では想いもよらない「実力」

が発揮されることがあると言われている。自分の才能を強く信じることで困難を成功

へと導くことができるというのだ

 辻井は自分の性格をこう分析している。

 「自分は、いつも前代未聞なことをして、皆にびっくりされたい。僕は、難しけれ

ば難しいほど燃えるタイプ」

 川上は、そんな辻井の性格を見抜き、レッスンやコンサートの選曲は、辻井がギリ

ギリ超えられる難易度の曲設定し、それを着実に乗り越えさせてきた。

 常に辻井をワクワクさせる選曲。そして、辻井の向上心を刺激するような指導。こ

の積み重ねから生まれた数々の成功体験が、辻井の実力を真のものとし、ピアニスト

としての器を大きくさせる糧となっていった。

 今更、遅いかもしれませんが、成功する人の考え方を、学ばないと行けないと思い

ました。

 中古本でもすごい高いんですね。びっくりしました。