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第三次世界大戦はもう始まっている

 フランスの歴史人口学者・家族人類学者であるエマニュエル・トッドさんの「第三次世界大戦はもう始まっている」を読みました。衝撃を受けた少しだけ紹介したいと思います。

 

■死活問題

 ミアシャンマーが出した最初の結論は、「いま起きている戦争の責任は、プーチン

やロシアではなく、アメリカとNATOである」ということです。「ウクライナNATO

入りは絶対に許さない」とロシアは明確に警告を発してきたにもかかわらず、アメリ

カとNATOがこれを無視したことが、今回の戦争の原因だとしているのです。

 重要なのは、「この問題は、ウクライナが実際に加盟申請をしたかどうかという形

式的な問題としては片付けられない」とミアシャイマーが指摘しているとこです。ロ

シアの攻撃が始まる以前から、「ウクライナはすでにNATOの“事実上”の加盟国」だっ

たと彼は考えます。

 もう一つミアシャイマーの指摘で需要なのは、「ウクライナNATO加盟、つまり

NATOがロシア国境まで拡大することは、ロシアにとっては、生存に関わる『死活問

題』であり、そのことをロシアは我々に対して繰り返し強調してきた」ということ

す。

(略)

 ロシアの勝利を阻止できなかったとしたら、どうなるのか。アメリカの威信が傷つ

き、アメリカ主導の面で世界的な覇権を握る中で、実物経済の面では、世界各地から

の供給に全面的に依存していますが、このシステム全体が崩壊する恐れでてくるので

す。ウクライナ問題は、アメリカにとってもそれほどの「死活問題」になっています。

最近、世界情勢の本を数冊読んでいますが、アメリカが戦争を仕込んでいることがわかりますね。

 

■時代遅れの産物

 「空母キラー」と呼ばれる超音速ミサイルの分野では、ロシアがアメリカに対して

四年は先んじているといわれています。アメリカの軍事力の中心にある「空母」も、

すでに“時代遅れの代物”になっている可能性が高く、日本も含めて各国がアメリカか

ら“押し売り”されている戦闘機F35にしても、元戦闘機設計者エール・スプレイなど

指摘しているように、実践できちんと機能するのか疑わしいと言えます。

(略)

 ウクライナ軍の完全ではないにしろ一定の成功から、「戦車は時代遅れの兵器であ

る」ことが明らかになりました。アメリカがウクライナに供与した「ジャベリン」な

ど、携帯式対戦車ミサイルによって、「戦車の弱点」が露わになってしまったので

す。

 この事実は、ロシアのように「陸地での戦い」を得意とする「ランドパワー(大陸

勢力)」にとっては深刻です。

 アメリカは「空と海での戦い」を得意とする「シーパワー(海洋勢力)」ですが、

そのアメリカ軍の中心に存在するのが「空母」です。しかし今日、超音速ミサイルの

存在によって、「空母」の弱点が露わになっています。

 つまり、ロシア側が「戦車という時代遅れの兵器」を抱えている一方で、アメリ

側は「空母という時代遅れの兵器」を抱えているわけです。

 ロシア黒海艦隊の旗艦「モスクワ」も沈没したように、この戦争では、“重厚な攻撃

用兵器”が、“軽微な防御用兵器”に対して驚くほどのもろさを露呈しました。(略)

 アメリカの「空母の脆弱性」は、「台湾問題」に直結してきます。中国が台湾に武

力侵攻した場合、果たしてアメリカは台湾を守れるのでしょうか。アメリカの空母が

軍事技術として既に廃れている以上、「アメリカは台湾を守らない/守れない」と私

は考えます。この点は日本にも無関係ではありません。

 確かに、戦い方が変ってきてますよね。台湾問題は、心配でしかないですね。

 

■日本の立ち位置

 ここで日本は何をしようとしているのでしょうか。ヨーロッパで起きている戦争の

ために日本がロシアに制裁を科すというのは、少し考えてみると滑稽なことです。

 西洋が「世界」を代表していると西洋自身はうぬぼれていますが、それは、対ロシ

ア制裁に参加している広義の「西洋」、アメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、ニ

ュージーランド、そして日本と韓国に過ぎません。西洋は「世界」の一部でしかない

のです。

 国連総会での対ロシア決議やG20での議論を見ても政界の大半のくには、むしろロ

シアの勝利を望んでいるようにも見えます。彼らは、「西洋の傲慢さ」にうんざりし

ているのです。

 (略)

 ロシアの行動が「許せない」ものだとしても、アメリカを喜ばせるために多少の制

裁は加えるにしても、シアと良好な関係を維持することは、あらゆる面で、日本の

国益に適います。

 感情的にならざるを得ない状況の中でも、決して見失ってはならないのは、「長期

的に見て国益はどこにあるか」です。

 たしかに・・・。会社や近所のお付き合いと同じですよね。仲良くすることが大事で

すよね。

 

エマニュエル・トッドさんは、人口学的見知、家族人類的見知な切り口から公平に分析

をされています。また、フランスを拠点とされていますので、フランスやEUの事情と

か私の知らないことをしっかり学べました。是非読んでみて下さい。