【体外受精の考え方】
日本では同じ手順で何度も体外受精を繰り返す病院が少なくないと聞いている。
それはまるで、イチかバチかといったふうで、そのうち妊娠したらめっけものとでも思っているかのようだ。
10回以上も繰り返し、女は心身ともに疲れ果てて、年齢も重ねてさらに妊娠しにくくなる。
アメリカでは3回やってダメなら見切りをつけて、代理出産を進めることがほとんだという。
その3回の体外受精にしても、毎回同じ手順を踏む日本の病院とは大きな違いがある。
アメリカでは、より良い卵子を選別し、より良い受精卵を選別し、
患者ごとに子宮内のどこに置くのが最適かを試行錯誤しながら行うという。
【世界の代理出産事情】
中国で不任に悩む夫婦は5千万組もいるという。
2015年に一人っ子政策が廃止されたが、二人目を望む女たちの多くは年齢を重ねていて妊娠が難しくなっていたらしい。
インドやタイでの代理出産なら近くて安いが、今では両国とも外国人のための代理出産を禁止するようになったから、
2万組もの富裕層の中国人夫婦がアメリカでの代理出産を申し込んでいる。
それというのもカリフォルニア州では代理出産の法整備が進んでいて、依頼人を父母とした出産証明書を出してくれるからだ。
ドイツやイギリスなど代理出産が禁止されている国々の女たちもカリフォルニアに押し寄せている。
今後はLGBTQ+カラの依頼も多くなるだろう。
アメリカで代理出産を依頼した日本人の場合は、出生届が受理されない場合が少なくないと書かれている。
アメリカのクリニックでもらった出産証明書と、その訳文、出生届、戸籍謄本の四つを揃えて提出すれば、
形式審査で受理されるのが普通である。
だが、日本国領事館が受け付けて、そのあと日本の法務省に渡ったときに審査で引っかかることがあるという。
妻が50才以上だと、妊娠出産は不自然すぎるし、診察記録と出生までの申述書を持ってこいと言われる。
だけど実際に妻が妊出産したわけではないから診察記録などない。その一方で49才以下だとすんなり受理されるという。
【日本の法律】
代理出産には一言も触れていない。
全日本産科学会という任意団体が、「自主規制」として代理出産を禁止していただけだった。
その自主規制とやらが作られたのが1983年で、他人の卵子や子宮を使って出産するのを禁じたのだ。
それからずいぶん世の中も変わったのに、法律や制度は頑固に変わらない。
女が自由にのびのび暮らせない元凶は何だろうと考え続けていた。法律や制度の古さが大きな要因の一つに違いない。
また、学会は任意団体だから法的な拘束力をもたないし、罰則もない。