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正義のセ❷~史上最低の三十歳~

 阿川佐和子さんの「正義のセ❷~史上最低の三十歳~」を読みました。強姦事件、同

期の不倫、父の浮気疑惑、妹の結婚話等、これでもかというほど難題が噴出します。

凛々子どう立ち向かうのかが問われているのだと思いました。勉強になったことや解説

の一部を紹介したいと思います。

 

■重要事件発生報告書

 県内で起こった殺人、号棟、強姦などの重大事件は、「重要事件発生報告書」とい

うかたちで県警本部に集約される。発生時間、発生場所、被害状況、被疑者の人着

(人相と着衣)などを管轄各所が県警に報告し、それらの情報を県警本部内で文書化

したのち、改めて各署に通報するのが通例である。各署がが早い段階で事件情報を共

有することにより、捜査を迅速かつ連携して進める手立てとなる。

そりゃそうですよね。報告書で連携しないと、連続事件の場合怖いですよね。

 

■性犯罪

 日本は性犯罪に甘すぎるのだ。やはり男は男に甘いのか。性的なダメージを受けた

女性がその後、どれほどつらい人生を過ごさなければならないか。たとえ身体が元気

になっても精神的な傷は生涯消えないのである。その証拠に、自殺を図る被害者は多

いと聞く。そういうことを、男はまったくもって他人事としかとらえていない。

 

 だいたい痴漢でさえ、量刑が軽すぎするのではないか。基本的に女性の下着の中ま

で手を入れない限り、「強制わいせつ罪」とは扱われず、つまり服の上からお尻や胸

や下半身を触ったり、股間を押し付けたりするだけなら、自治体によって異なるが、

単なる「迷惑防止条例違反」の対象にしかならない。しかも前科がなければだいたい

20万~30万円の罰金で済むのだ。たった20万円を払えば、そんないやらしい男が再び

満員電車に乗ったり街中にのさばったりできるなんて、世の中おかしくないか。

 性犯罪は、ジャッジが難しいのですね。びっくりです。

 

■公判部の仕事
 法廷で弁護人と対峙するだけでなく、その大前提として、まず起訴内容と証拠がき

ちんと合っているかどうかを見極めて、続いて裁判所に提出するための証拠を分別、

整理して、それから冒頭陳述、すなわち事件のストーリーを記載し、論告、すなわち

求刑や情状の内容を作成する、など、いわば法廷という舞台へ出ていくまでの下ごし

らえ的な作業が大半を占める。

 しかもそれらの事件はすべて、自分が担当したり取り調べたりしたものではない。

刑事部や公安部などが上げてきた案件を引き継ぐ形になる。

分業になっているのですね。知りませんでした。

 

■解説~ジョーン・スー~

 凛々子は29歳になった。東京で働く29歳の女は、いままで同じ歩幅を歩んできた友達と、結婚、出産、転職などさまざまな要因でゆるやかに分断され始める。迷子になった子どもと同じく、しばらくは置かれた状況に気付けない。しかし、ふとした瞬間に取り残された自分を見つける。誰を見ても先を越されたように感じられ、自分だけ落第の印を押された気持ちになるのだ。

 

 同時に、手ごたえを感じるようになった仕事にやりがいを見出し、目をキラキラさせているうちに猛スピードで日々が過ぎていく。走る、立ち止まる、焦る、また走る。この方向で良いのかと自問しながら、答えのないまま走る。出来ることが増えたからこそ、いままで見たことのないような大きな壁にぶつかる。29歳、少なくとも私はそうだった。

 

 ではなぜ29歳の響きに魅了されるかと言えば、ここを踏ん張った者はのちの大輪の花を咲かせると知っているからだ。30代前半の働く女には無敵の猛者が多く、凛々子も間違いなくそうなるだろう。ぶつかる壁はどんどん大きく硬く高くなるが、ちょっと前なら泣きべそをかいて退散するしかなかったそれは、30半ばをすぎた片手で簡単に倒せるようになる。40歳を越えたらヒラリとかわせるようになる。凛々子はまだ知らないが、アラサーはキツい筋トレの時代なのだ。ひどい筋肉痛に悩まされるほど、傷ついた筋組織は肥大して彼女はどんどん強くなる。そして凛々子が獲得した強さは、彼女を少しずつ柔らかくするのだ。

 ジョーン・スーさんが書かれた解説が、あまりにも素晴らしいので、そのまま紹介さ

せていただきました。娘たちも、結婚しないと豪語しており、これから30歳へ向かって

たくましく成長していただきたいと心から願っております。

 

是非読んでください。