原田ひ香さんの「古本食堂」を見返したくなって、もう一度読んでみました。
そうすると、珊瑚さんと東山さん、美希喜ちゃんと滋郎さん、滋郎さんとパートナーのことが段々わかってきました。相関図(関連図)を掲載してお行きます。
あれッと思ったら、確認いただければと思います。

■玉能小櫛(滋郎さんが美希喜さんに渡そうした本)
【後藤田さんと滋郎さんの話】
滋郎さんはそこにいて、まさにそこに立って、この額を下ろしてくれて、言いました。
私も迷ったことがあると。いったい、何の仕事をしたらいいのかわからなくなっていた時、君の担当教授の遠井先生に出会ったと。滋郎さんは当時、アジアの旅行から帰って、就職もせずこのあたりの古本屋の手伝いというかアルバイトというか、そういう仕事をしていたんですね。その中で遠井先生に出会って、仕事に就いて話したら、本居宣長先生の話をしてくれたんだと。
本居宣長先生がいなかったら「源氏物語」はこの世に残っていなかったかもしれませんよ、と言われたんそうです。滋郎さんはそんなこと、考えたこともなかったからぽかんとしてしまった。でも、遠井先生の話を聞いて納得しました。江戸時代、本居宣長が研究を重ね、たくさんの書物を残したことで、それまで以上に「源氏物語」に脚光が当たり、それが今に残っているのです。~もののあはれ~
平安時代に、他にもいろいろ物語があったという記録がありますが、そのほとんどは残っておりません。また、記録にさえ残っていない物語や作者もあるはずです。だから、今、ここに残っているものは末永く残していかなくてはならない。私たち、研究者はその長い長い鎖をつなぐ、小さな鎖のひとつでいいではないですか。自分の名前を残そうとか、自分の研究で世間や学会をあっと言わせてやろうなんて考えなくていいのです。ただ、それを公正に残す小さな輪で。
あなたの職業もそうではないですか。古本屋さんは私たち学者と同じように、本屋物語といった文化を後世に残す。そういう輪です。だから、私は皆さんを尊敬しているし、同志として信頼している……滋郎さんは遠井先生にそう言われて、古本屋として生きる決心をしたそうです。
その後、遠井先生がその古い「玉能小櫛」の一冊を、滋郎さんの店ができた時にプレゼントしたそうです。だから、額に入れて飾ってあるんです。滋郎さんはその話でわたくしを励ましてくれました。わたくしもまた、その小さな鎖、小さな輪の一つになろうと決めました。ここに「玉能小櫛」の額の裏に、あなたに宛てた名前が入っている、というのはきっと滋郎さんのお気持ちでしょう。これほどはっきりした彼の気持ちもない。でも、彼はあなたに逃げる場所もちゃんと残して逝った。あなたがこれに気づかなかったり、拒否をしたりしても負担にならない、ほんのわずかな自分の気持ちをここに残したんだ。
鷹島さん、あなたも研究者にならなくていい。でも、あなたにはこの道があります。この店はいい店ですよ。一度、大叔母さんに心を込めて頼んでみたらいいんじゃないですか。そして、わたくしたちの同志になってほしいのです。
本居宣長さんってすごいのですね。
会社の中では、ちっちゃな存在ですが、後輩に少しでも継承していけたらと思いました。
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