山中伸弥さんの「友情2~平尾誠二を忘れない~」を読みました。友情の第2弾ですかね。少し紹介させていただきます。
■平尾さん、西濱先生、母の三人の共通点
それは、「レジリエンス(対応力)」と「感謝」です。
西濱:山中君、レジリエンスっていう言葉を知っているか?
山中:何ですか?
西濱:レジリエンスというのは、つらい出来事があった時でも、しなやかに適応して
生き延びる力のことだ。たとえば、神戸や東北の震災で家族も家も亡くした人が
大勢いた。落ち込んで立ち直ることができなかった人がいる一方で、希望を失わ
ず気丈に立ち直り、前向きに生きている人もいる。その強さがレジリエンスだ。
山中君、レジリエンスは生まれつき人間に備わっているものではないとぼくは
思う。柔道と一緒で、鍛えれば身につけることができるんだよ。その秘訣は、感
謝することだ。周りに対する感謝の気持ちがあればこそ、レジリエンスを発揮し
て、しっかり自分を保つことができるんだ。
僕は、「これは恩師から受ける最後の授業だ」と思いながら、西濱先生の話を聞いて
いました。そして、余命いくばくもないことをご存じの先生が気丈にしていられるの
は、ご家族や友人や教え子らが自分を支えてくれているという感謝の気持ちがあるか
らなのだと、気づかされました。
僕の母も「いいことはおかげさま、悪いことは身から出た錆」という精神の持ち主
で、人への感謝を忘れない生き方を教えてくれた気がします。
感謝することって大事ですよね。私は言葉足らずのところがあって誤解を与えてしま
うことが多いのですが、心のなかでは感謝しています。
私の仕事って、皆さんにお願いすることばかりで、皆さんにいかに気持ちよく動いて
いただくしかないと思っています。
■奥総一郎さん
神戸製鋼の不祥事は短期的に明らかにピンチですが、ここを乗り越えれば、大らかな風土の会社に危機感が共有されることで、組織を動かし改革する千歳一隅のチャンスが到来する。そういう見方もできます。平尾さんなら間違いなくそう考えるはずなので、「いまのつらい状況があるから組織を改革できたという成果を、ひとつでもつくらなければ」と、肝に銘じています。
また、平尾さんは生前、「失敗を責めるな。チャレンジを褒めろ」とおっしゃっていました。人間というのは、たいてい一度か二度失敗し、失敗から多くを学んで二回目、三回目のチャレンジで成功するものです。事業再生も、失敗した人のセーフティネットを作り、いったんリセットした後の再チャレンジを可能にする仕事だと思います。「失敗を責めるな。チャレンジを褒めろ」という平尾さんの前向きで熱く、優しさの詰まった言葉は、この仕事をする上でとても大きな力になっているのです。
■元木由紀雄さん
平尾さんに教わったことで選手に伝えたいのは、「考える」ことです。
いまの学生を見ていると、自分自身で考えることがすごく苦手なように感じます。情報がありすぎて、自分で考えてプレーを選択することがなかなかできない。こちらが言ったことはきちんとやるけれど、それ以上のことができないのです。
平尾さんは考えないプレー、意図のないプレーが大嫌いでした。
誰かが流れに任せてプレーしていると、「おまえ、何考えてやっとんや!」と必ず激怒した。
たとえ判断が間違っていたとしても、きちんと考えて選択した結果であれば、それほど怒りませんでした。
■杉本慎治さん
選手も社員も、いかにやる気にさせるかがもっとも大切です。単純に「がんばれ」と叱咤激励するだけでは人は動かさないし、命令して動かしても思うような成果はあがらない。自主的に動くようにならなければダメです。
平尾さんが全体練習を週三日に減らし、選手の自主性を促そうとしたように、ぼくも社員にできるだけまかせ、各自が自分で考えて仕事をするようにしています。<略>
平尾さんがよく口にしていた「創造的破壊」という言葉も、折にふれて思い出します。神戸製鋼が連覇を続けていたころ、平尾さんは盛んにこう言っていました。
「ダメなところは破壊して、いいものを新しくつくる。そうして毎年、前の神戸製鋼より20%強いチームを作っていくんだ。」
ほかのチームは「神戸製鋼に勝つこと」を最大の目標に掲げ、我々と戦うときは120%の力をぶつけてきます。毎試合それを受け止めて、跳ね返さなければいけないから、前年と同じ力では勝てるはずがありません。
僕らは、ただ目の前のやるべきことを必死にやっていただけですが、平尾さんはどうすれば20%強くなれるか、常に考えていたはずです。平尾さんは前シーズンのスタイルにこだわらず、毎年弱点を補強しながら競争させ、前年より20%強いチームを作り続けた。だからこそ、7年連続して日本一になれたのです。
失敗を責めるな、チャレンジを褒めろ
考えること
創造的破壊
私が言ったらおこがましいですが、すごく大事な言葉ですね。考えさせられます。
特に創造的破壊は、これからの会社の人材育成プランに大きく影響を与えそうです。
感謝してます。
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