注文をまちがえる料理店

　小国士朗さんの「注文をまちがえる料理店」を読みました。

　この企画は「面白いな～。認知症の方でも生き生きと働ける居場所があるっていいなぁ」と思いながら読み進めていきました。

　少し古いネタになるんですかね。少しだけ紹介させていただきます。また、関連するユーチューブもありましたので、興味のある方は見ていただければと思います。

■1980年代の介護の世界

　認知症になれば、体をベッドやイスに拘束されたらり、部屋や施設に鍵をかけられたりと、多くの行動が制限されることは当たり前だと思われていました。
そうした状況に疑問を持った和田さんは、「人として、“普通に生きる姿”を支える」介護を目指して戦ってきたのだといいます。

　「介護っていうのは、やっぱりその人の持っている力を、その人が生きていく上で必要なことのために引き出していくことだと思うんですけど。

　　僕は最期まで人として生きてほしい。

　人は誰もが自分の持っている力で生きていくんで、持っている力を自分で使いこなせなくなっているのが認知症だと思うから、使えるように使えるように、応援していくのが僕の仕事かな」

　だから和田さんの施設では、自分でできることは自分でする。包丁を握り、火を使って料理をし、洗濯、掃除を行い、街へ買い物や散髪にも出かけていきます。

　認知症の状態のある方って、ずっと自分の意志を行動に移すことを、止められてきた歴史なんですよね。
　でも人間って何がステキって、自分の意志を行動に移せることがどれほどステキか。人間が、脳が壊れたからといって、その人間にとっていちばんステキなところを奪ったらアカンと。

　できるだけそのことを守っていくというか、守り手にならなアカンって、やっぱり思っているんですよ。

　認知症である前に、人

　１９８０年代の認知症の介護の実態はこんな感じなんですよね。

でも、残念なんですが、介護側も疲労困憊し、自宅では見れなくなってきますよね。

■間違えを受け入れ、一緒に楽しむ
　あたりまえですが、この料理店で認知症のさまざまな問題が解決するわけではありません。
　でも、間違えることを受け入れて、間違えることを一緒に楽しむ。
　そんな、ほんのちょっとずつの“寛容さ”を社会の側が持つことができたら、きっとこれまでにない新しい価値観が生まれるのではないかと思ったのです。

　そもそも、たいていの間違いというのは実はたいしたことではなくて、ちょっとしたコミュニケーションで解決してしまうんですよね。
　とはいうものの、そんな簡単にみんなの寛容さ…「ま、いいか」スイッチが、入るわけではありません。

　そういう気分にさせる、いくつもの仕掛けが必要です。
　「注文をまちがえる料理店」というタイトル、お店の世界観が一目でわかる「てへぺろ」のロゴマークはもちろん、値段が均一だったり、アレルギーの問題を心配しなくてもよかったり、その料理もおいしそうだったり、そういう点も大事な仕掛けとなります。

■コストから価値へ

　これまで間違えるという行為、あるいは認知症という状態は、社会的には“コスト”と考えられてきました。
　しかし、「注文をまちがえる料理店」という存在が登場することによって、その間違えるという“コスト”がぐるんっとひっくっり返り、大きな“価値”に変わってしまったのです。

　実際、「注文をまちがえる料理店」の中にいると、哀れみや同情、かわいそう……といったネガティブな感情がほとんど見つけられませんでした。
　それはもちろん、わずか一時間あまりの限られた時間だからこそ、楽しく寛容な心でいられるという側面はあるのでしょう。もし身近な家族に認知症を抱える方がいらっしゃれば、「そんな気持ちに簡単にはなれないよ……」となるだろうと思います。

　ただ、それでも「注文をまちがえる料理店」のなかでは、お客さまが認知症の状態にある方を見つめる視線が、こちらが不思議になるほどキラキラしているのです。

　価値観を変えることが大事ですよね。

　この本には、小国さんのが①なぜ注文をまちがえる料理店したのか？②企画するにあたっての条件や運営するにあたってのルールなども記載されており、非常に勉強になる事間違いなしです。

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注文をまちがえる料理店 [ 小国　士朗 ]