岩木一麻さんの「テウトの創薬」を読みました。ベンチャー企業がカイコを用いた医
薬品の開発に挑んでいくというストーリーなんですが、専門的な内容もあり、私にも途
中すごく難しかったというのが感想です。勉強になった個所を少しだけ紹介させていた
だきます。
■新薬の承認
どのような薬効があるかという「効能」と、実際に対象疾患の緩和・治癒に利益が
あるという「効果」、リスクとしての「副作用」の三つのデータが必要です。
日本は、薬の承認に時間を要すと言われてますよね。
■昆虫細胞を用いたインフルエンザワクチン
日本では過去に、昆虫細胞を用いたインフルエンザワクチンが承認されなかった
「事件」が起きたことがある。
そのワクチンは、蛾の一種であるヨトウガの培養細胞と、遺伝子改変したバキュロ
ウイルトという昆虫ウイルスを用いて製造されたものだった。通常、インフルエンザ
ワクチンは鶏卵アレルギーの人にも高い安全性が期待できた。
また、鶏卵を用いたワクチンは製造に6~9ケ月を要するが、昆虫細胞ワクチンは
8週間で製造可能で、新型インフルエンザにも迅速に対応可能である点など多くの利
点があり、アメリカでは承認されていた。
にもかかわらず、PMDAは「リスク・ベネフィットの観点から昆虫細胞ワクチンの
臨床的意義は極めて乏しく、審査の継続はできない」との見解を示し。製薬会社は申
請を取り下げた。OMDAがどのようなリスク・ベネフィットを勘案して審査を継続し
なかったかは、今日に至るまで外部に明らかにされていない。
薬はどのようにして作られるかって、あんまり気にしていなかったです。
「テウトの創薬」を読んで勉強になり、なおかつ昆虫を使用しての薬開発の難しさを学
びました。
■昆虫採集をする人と山での自殺者は林道の終点に集まる
昆虫採集する人は自然豊かなところで採集したい。でも登山が目的じゃないからで
きるだけ車で移動する。それで林道の終点を目指す。
自殺者はできるだけ人目を避けたい。だから山を目指す。でも、多くの自殺者は適
当なタイミングで、発見してもらいたいと考える。獣や鳥、そして虫に食い荒らされ
るのは避けたいもの。だから、林道の行き止まりを目指す。
自殺者は夜に林道の終点近くで命を絶ち、翌朝やってきた昆虫採集者や、近くに川
がある場合には釣り人なんかが発見してくれるというわけ。
山に興味のない私には、おもしろいなぁ~と思いました。
この辺では、朝方、公園を散歩する人が松の木で自殺されている人を発見すると聞いた
ことがあります。
■人生感
命は儚いから価値があるのだ。心配もなく、ただ漫然と日々を過ごすよりは、自ら
生命の有限性を認識しながら生きる方が幸せなのではないか。人はいつか死ぬ。どう
せ死ぬなら、がんのような人生を終える準備を整えるための時間が十分にある疾患が
良いと進藤は考えている。
私は、どちらかというと「ピンピンコロリ」がいいです。
■カイコ
カイコは正式にはカイコガと言って蛾の一種です。ただし、完全に家畜化されてい
て飛ぶことはできません。飛ぶことができないだけでなく、桑の幹に掴まることもで
きませんし、枝にのせても葉を探すことができずに餓死します。もっとも自活能力の
ない究極の家畜化生物。それがカイコです。カイコは5千年ほどの前の中国で、クワ
コという蛾から品質改良で作られたと考えられます。
蛾が卵を産み、10日ほどで幼虫に孵ります。幼虫は約3週間かけて四回の脱皮を行
い、体重は一万倍に増加します。その後、繭を作って蛹になり、羽化して蛾になって
また卵を産みます。この一世代のサイクルが約7週間です。伝統的な飼育法では畑か
ら刈り取ってきた桑の葉を与えて育てます。カイコが大きくなると、一日に二回も葉
を与えていました。大変な重労働どうですね。しかし、現在では桑の葉の粉末と大豆
などでできた人工飼料で無菌的に飼育できます。一平米あたり千頭程度の高密度での
大量飼育が可能で、常温で飼育できるため高額な飼育設備投資は不要です。環境負荷
も小さく、餌の一頭当たりの桑の葉で飼育した場合約二円、人工飼料で飼育した場合
でも20円ほどと、餌のコストも低いのです。今の桑の葉で飼育した場合のように一日
二回の給餌ではなく、なんと生涯で三回の人工飼料の給餌で飼育できます。
カイコは糸を吐いて繭を作ります。この糸は、タンパク質です。絹糸は絹糸腺とい
う専用の器官で作られます。この絹糸腺におけるタンパク質の合成能力は凄まじく、
先ほどお話ししたような哺乳類の培養細胞と比べると、そのタンパク質合成能力は百
万倍以上と言われています。
カイコを利用した抗体医薬品の話が出てくるのですが、少しネットで検索すると普通
に出てきましたので参考に張り付けておきます。
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