よし🅾️のやってみよ😰

読書感想や紹介、切り絵、喫茶店巡りなど

灯台の響き

宮本輝さんの「灯台の響き」を読みました。とても大好きな作家さんです。

今回は、奥さんの思い出を親父が探しに行く物語です。

心に残った文章を少し紹介したいと思います。

 

■雑学について

牧野康平という人間が面白くないんだ。それはなぁ、お前に「雑学」ってものが身についていないからさ。大学ってところはなぁ、専門の学問を学ぶよりも、もっと重要なことが身につく所なんだ。諧謔、ユーモア、議論用語、アルゴリズム・・・。それらを簡単にいうと「雑学」ふぁ。女の話から、なぜか進化論へと話は移って、ゲノムの話になり、昆虫の生態へと移り、いつのまにかカルタゴの滅亡とローマ帝国の政治っていう歴史学に変わっている。どれも愚にもつかない幼稚な話だよ。でも、それによって各人が読んだり聞いたりして得た「雑学」の程度の差が露呈するんだ。康平、お前にはその雑学がまったくないんだ。

確かに雑学のある人は、喋っていても面白いですよね。勉強にもなりますし、どんな感じで勉強しているのかわかりませんよね。人と喋って蓄積したり、今やったらSNSやウキベディアですかね。

 

■読書について

康平、とにかく本を読むんだ。小説、評論、誌、名論文、歴史書、数学、科学、建築学、生物学、地政学に関する書物。雑学を詰め込むんだ。活字だらけの書物を読め、優れた書物を読み続ける以外に人間が成長する方法はないぞ

本を読んで勉強させられます。この作者の筋書きは本当かな?

本当やったら怖いなぁ~。最近の沖縄のヘリコプター墜落のこととか。

気になりますよね

 

■目を見張るほどの幸福が数多くある

 

すべての人の人生には実際に、目を見張るほどの幸福が数多くあるのですから

(小公子より)

 

 

27歳のときは、作者の言葉に反発を感じてそう思ったが、40を過ぎた頃から、いや、この世に目を見張るほどの幸福が満ちていると納得するようになった。

 

 

たとえば?と訊かられたら、説明に窮するほどの無数の幸福がある。

 

寒い夜に、風呂であたたかい湯につかって、大きなあくびをする瞬間。仕事を終えて、焼酎のぬるいお湯割りで気持ちよく酔いながら、妻と世間話をしている瞬間。迷いこんできた野良猫を飼おうかおうか妻と相談しているとこちらには一瞥もくれず、その猫が去って行った瞬間・・・。

 そんなささやかなものが幸福だというのか。目を見張る程の幸福とは、死の病から奇跡的に生還したとか、無一文から大富豪になったとか、何かの名誉ある賞や勲章を得たとか、つまりもっと劇的な幸福のことではないのか。

多くの人はそう言って笑うことであろう。

 小さな鉢に植えた花の種が、きっと枯れたのかも諦め欠けていたら、鮮やかな緑色の芽を出した。これを幸福と言わずして、何を幸福というのか。 

 ぐれて、音信不通になっていた息子が、ある日、家の前に立っていて、ひとこと「ごめんね」と言って泣いた。これを幸福と言わずして、何を幸福というのか

 そのように考えれば、すべての人に目を見張るほどの幸福が準備されているのではないか。

幸福って何?って聞かれたら、ようやく宮本先生の境地になったような気がします。

私は、女性の笑顔に特に幸せを感じます。特に私は変わっているので、奥さんに迷惑ばかりかけている自覚はあります。